セラピストのつぶやき

自分の中のぐちゃぐちゃ

時間って本当に不思議で、
1時間があっという間に過ぎることもあれば、
1時間が耐えられないほど長く感じることもある。

それはもちろん、
自分の内側がどのような状態にあるかによるけれど、
私自身は時間が伸びたり縮んだりすることを
客観的に見ているもう一人の自分を
興味深く観察していたりします。

つまり、
私の認識としてはいつも自分自身が「3人」います。

① 今ここにいる私
② その自分を客観視している私
③ その客観視している自分を含めた全体を見ている私

常に自分という存在が複数いることは子供の頃から感じていて、
だからどんな苦痛にもどんな悲しみにも
耐えてこれた気がしています。

誰しも自分以外に別の自分を感じていることって
あるのではないでしょうか?

私は昨年末くらいから
舞台を見る機会が格段に増えました。
ダンス公演、ミュージカル、演劇、、、おねがい

舞台ってほんと「ナマモノ」で、
その瞬間瞬間に出来ているのことなので
本当に「生きている」感じがする。

だから、私はずっと苦手だった。

生きているということは、何が起こるか分からない。
生きているということは、予測不可能なことが起こる。

私はそういうのが結構苦手だった。

だって、、、それって怖くない?
突発的に起こることには恐怖が伴う。
急に心の準備ができていないのに、何か飛んできたら、
心臓止まりそうになるよね。
想定外のことが起こったら、パニックになるよね。

きっとそれは、
私が極度の怖がりだったから。

先日、ものすごい舞台があると聞いて、
これを見てきました。

村上春樹の代表作である『ねじまき鳥クロニクル』の舞台。

村上春樹は知っているけれど、
私は今まで村上春樹ワールドには一度も足を突っ込んだことがなかった。
本は好きでよく読んでいたけれど、
私のアンテナに引っかかったことがなかった。

これを見にいくと決めた時、
舞台を見る前に、
原作(3部作になっている)を読みたいと思った。

結果、読んでから行って良かった。
読んでいかないと脈略が掴みにくいなと思ったのと、
小説とは違った構成の組み合わせ方がとても面白かったから。

私は行くと決めて、すぐ本を買おうと思ったら、
なんと家の本棚に第1部と第3部が入っていた。。。
夫が昔々に読んだものだったらしい。

なぜか第2部だけがなかったのでブックオフで購入して、
舞台に行くまでの2日間の間に
睡眠を削って、時間のあるかぎり読み進めて、
結局、全体の4分の1くらい残したところで時間切れ。

ということで、結末は知らないまま見に行った。

この舞台、すごかった!

息ができない!
私は呼吸するのを忘れるほどにその中に入り込んでいた。

この小説を読んでいるときもそうだったんだけれど、
描写があまりに壮絶で、
読むのが辛い部分も多かった。

戦争のグロいシーンとか、男女の恐怖を伴った交わりのシーンとか、、、
でも、
猛烈に入り込んでどんどん読み進めてしまう。

舞台では場面が移り変わっても
次から次へと心臓の鼓動に飲まれそうになる。
そして猛烈に疲れる。

1幕が終わった時、大きなため息が出た。
こんなにも見ることに疲れた舞台は初めてだった。

でもそこには本当に大切なものがたくさん潜んでいた。
こんなすごい舞台はなかなかないと思う。
見に行って良かった!


(これは舞台の模型)

この本には本当に不思議なパワーがある。
読んでいて結構辛かったのに、
体の奥からは得体の知れないエネルギーが込み上げてくる、
これってなんなんだろう。。。

そして舞台を見て、
その答えのようなものが演者から発せられていた。

「自分の中にあるぐちゃぐちゃ」

ある演者がそのようなセリフを言っていた。
きっと小説の中にも同じセリフが出てきていたと思うけれど、
私は舞台を見て視覚化されたことで
その正体のようなものをなんとなく掴み取った気がする。

誰しも自分の中に
得体の知れない感情だったり、
どうしようもない衝動だったり、
見たこともない自分が存在していたりする。

それをどのようにに認識し、
どのように処理し、
どのように現実世界で消化させるかって、
私はまだよく分からない。

でも「そこに何かがある」ということを認識できたのなら、
私はそれが何かしら自分の道しるべとして
人生のその先を作っていくものなのかなとも思う。

何かとてもとても大切なものが組み込まれているという事は
小説を読んでいる時から感じていた。

私の人生の「道しるべ」に繋がるキーワードが
あまりにたくさん出てきたことに
私は本当に驚いている。

人生は一つの側面であり、
その全部を見ることは難しい。だからこそ面白い。

このタイミングでこの舞台を見ること、
いや、村上春樹ワールドを知ることになったのは
きっと私の人生経験と成熟度がその世界に一致したからなのかも知れない。

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演じる・歌う・踊る――
トップクリエイターたちの手で舞台化された村上春樹の代表作
舞台『ねじまき鳥クロニクル』

【期間】 2023年11月7日(火)~11月26日(日)
【会場】 東京芸術劇場プレイハウス
【上演時間】1幕90分/休憩15分/2幕75分(計3時間)
【チケット】S席:平日10,800円/土日祝11,800円
サイドシート:共通8,500円(全席指定・税込)
U25チケット:6,500円(当日引換券・税込)
【詳細】https://horipro-stage.jp/stage/nejimaki2023/
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アート作品としても素晴らしかった。
この作品は、
イスラエルの奇才:インバル・ピントとアミール・クリガーの演出。

ダンスの振り付けも、
ものすごくて本当に引き込まれた。

気持ち悪さと美しさは紙一重だ。

こうやって芸術・アートを見にいくことが
私にとって自分の世界を広げていくことに本当に役に立っている。

自分の世界が広がっていくと
常に3人いる自分が同時に喜んでいるのが分かる。

この世界をいろんな視点から見るときに、
その視点が広く大きく肥えていると
「人の無限の可能性」という言葉に
もっともっと「信頼」が乗っかっていく。

視野を広げるには行動するしかない。

行動を起こせるこの体が存在しているうちに、
私はできる限りのことをしていきたい。

どっぷり疲れの中にいた時間は
人生をいうものの奥深さをどっぷり感じた時間でした。

私は小説の残りを読み進めます爆  笑

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